2010.03.04プロと素人の認識ギャップ
昨日、ある建築雑誌を読んでいて見つけた記事に下記のような事柄があった。
住宅建築上のトラブルで、「一般に設計契約は請負契約」「予算を大幅に上回る設計を行うことは債務不履行に当たる」「既に支払われた設計料まで含めて全額返還せよ」――。こうした判決を下された。詳しいトラブルの内容は置いといて、この内容に対する読者(同業者である建築家)のコメントに改めて考えさせられた…。
以下そのコメントの一部を掲載する。
~プロの常識が素人にも通用すると考えている時点でプロ失格です。建築に限らず、あらゆる業界で(特に専門性が高いほど)プロと素人の認識ギャップは大きく、だからこそ契約における「合意形成」が重視されるのです。~
「素人にも通用すると考えている時点でプロ失格」、「プロと素人の認識ギャップ」という言葉が、自分の胸に痛いほどグサリと突き刺さる。私はできるだけ建て主の気持ちを理解したい、だから、判っていると思っているようなことでも説明をして理解・納得してもらいたいと思っている。そんな仕事ぶりをしているつもりである。
でも現実にはそれが100%できているかと言われると…?である。そのギャップを埋めるような説明と仕事ぶりができているか否かは、自分の判断ではなく建て主の評価で決まるのである。いくら自分が100%上手くいったと思っても、建て主がNGであれば0%なのである。
このテーマは我々建築家にとって、永遠で最大のテーマと言っても過言ではない。私自身、「プロの常識が素人にも通用する」という考えはこれっぽっちも持ってはいない。プロと素人にはそれぞれの認識があって、その溝をどの位埋められるかが、我々建築家の勝負どころではないだろうか。かゆい所に手がとどく、そんな建築家になりたい。